『こうあったらいいなあ』っていう方向で映画をつくっています。おすすめ度
★★★★☆
インタビューに答えて映画をつくるとき考えていることや、物語の出来るヒントになった出来事などが語られています。
読んでいて共感する言葉が沢山出てきて面白かったです。
「歯止めをなくす瞬間は一種の快感があるんだけど、形を壊した瞬間にね、次の形を作る能力を持たないことが発覚しますから。
だから際限なくくだらなくなってくっていうか映画そこには残るだけだと思うんですよね。」
「愛とか正義とか友情とか、…本気でしゃべってくれないかなあって、みんな待ってるんだと思いますね。」
「実際に多くの人は他人に対して親切ですよ。親切にすることは気持ちがいいことですからね−」
など
「となりのトトロ」
が
「自然が貧乏であることの証明にしかならなかった自分の少年時代に対する手紙」
という言葉もあって、しみじみ読みました。
「子どもに見てもらうアニメーションをつくるんだ。」
ということを何回も語っています。
インタビュアーの個性おすすめ度
★★★★☆
インタビュアーが不評のようですが、本書を読めば、宮崎監督本人は
渋谷陽一氏に好意的なことがわかります。(そもそも不快に思って
いるなら、こんなに何度もインタビューを受けないでしょう)。
独自の視点をもってインタビューするからこそ、宮崎監督も新しい
刺激が得られ、新しい話を引き出すことができるのです。宮崎監督が
国民的アニメ作家になった今、これだけ突っ込んだインタビュー集は
貴重だと思います。
宮崎氏の世界おすすめ度
★★★★☆
他のレビューにもあるように渋谷陽一氏のインタビューは御世辞にも良いとは言えない、非常に小さく低次元な自分の観念に凝り固まっている上に時として失礼なまでの押し付けがましい発言、読んでいて不快になる時すらあります。ただし、一応宮崎さんを刺激して彼の意見を引き出す事には成功している、という点で間違いなく一度読む価値のある対談です。10年以上に渡る宮崎氏の思想、変わったものも変わっていない根幹にあるものも含めて、宮崎氏のアニメ作りにかける良心、誠実さを充分感じ取ることが出来ると思います。
概要
弊社ロッキング・オンが宮崎駿さんに初めてインタヴューをさせていただいてから、もう12年になります。元々は、私どものところの雑誌『Cut』の創刊号にどうしても宮崎駿さんのインタヴューを掲載したいという、こちら側の勝手なわがままから始まり、以来、『紅の豚』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』それぞれの作品インタヴュー、そして、2001年の12月『SIGHT』という雑誌に掲載した、『風の谷のナウシカ』から『千と千尋の神隠し』までを振り返る60000字インタヴューと、計5回インタヴューをしてまいりました。その5本のインタヴューを完全ノーカットの形で収録したのが、この『風の帰る場所ナウシカから千尋までの軌跡』です。
内容(「MARC」データベースより)
12年間を費やして行なわれた5本のインタヴューを完全ノーカット収録。「ナウシカ」「トトロ」「千と千尋の神隠し」は、どのように生まれたのか? 全12万字超で、宮崎駿本人だけが語り得る真実がついに明らかになる。