なぜ未完成?おすすめ度
★★★★☆
天才気質でどこか影があり、権威・権力に反発する。手塚作品を読んでいると、北一輝は、手塚治虫の好きな人物像でありキャラクターであったことが想像できます。
これは天才は天才を知るということなのでしょうか。手塚氏が子供向けに描いたドストエフスキーの「罪と罰」から見られる天才の描き方がこの作品にはでているような気がします。
社会的な問題で連載できなかったらしいですが、ぜひ続きが見たかった。今の時代なら書けたんじゃないかと思うと惜しい気がします。
手塚治虫は北一輝を描きたかったのに・・・おすすめ度
★★★★★
この☆5つという評価は、常識的には、傑作ぞろいの手塚作品の中では無理があると思います。既に手塚治虫に親しんでいて、しかも歴史ものの好きな方にお勧めします。
「一輝まんだら」は未完です。おそらく物語の半分にも達していません。つづきを書かせてくれる出版社を見つけることができなかった、ということのようです。たとえば「アドルフに告ぐ」ではドイツと日本が同じぐらいの比重で扱われていますが、ナチスの犯罪に比べ日本のそれはさほど表現されていません。でも、本書の主人公の北一輝は、2・26事件との関連で死刑にされた右翼の大物です。彼の生涯を描くとすれば、どうしても満州事変などに触れない訳にはいかないでしょう。しかも、北一輝と共に手塚が作品の主要人物として選んだのは、姫三娘と王太白という中国人です。描かれた部分だけ読んでも、中国側からの視点が盛り込まれていると感じます(私の判断では常識の範囲内ですが、まさかこれが理由でつづきを書かせてもらえなかった?)。
手塚は大変バランスのとれた作家ですから、直接イデオロギーを前面に出すようなことはしませんが、彼がこの興味深いテーマでどんな世界を描いてみせたか、完成していたら、素晴らしい歴史絵巻になっていこそすれ、低レベルの戦争ものにはならなかったと思います。ーー相手は手塚治虫なのですから、ともかく自由に書かせてあげてほしかった、と思うのは私だけでしょうか。
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